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新英語教育研究会神奈川支部HP

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2005.3 会報122:定期テスト問題づくり★

2005年3月例会(会報122)
●実践報告(高校):「定期テスト問題づくりワークショップ(1)
  ~教科書で扱った文章を読解問題として出題するノウハウあれこれ~」
萩原 一郎さん(神奈川県立白山高校)
 今回のワークショップ、まさにタイトルに(1)と銘打ってあるように、神奈川支部の定番企画として継続して行きましょう! みなさん、萩原先生からの試作をぜひ参考になさってください。

(1)提案
・ 若林俊輔・根岸雅史『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る』で提案する2つの方法
・ 本文を書き換えて出題→読解力の測定:原文を参考にするなどして、教科書の文章とパラレルなテキストを作成して用いる。そうすると生徒は自分で学習してきたことを手がかりに取り組むことが出来、かつ、暗記では対応できないので「読解力の測定」になっていると言えよう。
・ クローズテスト(cloze test)にする→読解力の測定:この出題を続けると教科書本文を丸暗記する生徒が出てくるが、訳文の暗記よりはいい。
例) ( )に入れる語句を下から選んで記号で答えなさい。
キーワード
・ 波及効果を考えよう!:テストに出題したことで学習者が次回からどう学習するかを波及効果として考えて出題することが求められる。例えば安易に「和訳しなさい」という出題をすると「和訳を暗記する生徒」を作ってしまうことになる場合がある。
・ 総合問題はやめましょう:いわゆる「総合問題」[1つの文章の中で「穴埋め」「動詞の形を変える」「和訳」「並べ替え」などを問う問題形式]はここ数十年、伝統的スタイルになっている。しかしこの形式ではどこが理解できていて、どこが弱いのかということが判定できない。ゆえに観点別で問題作成する必要がある。

(2)ワークショップ
・ ワークショップではプリントを見ながら自分でそういう問題を作るかを考えました。
・ 93年度中学『クラウン3』キング牧師のレッスン(p. 60 ~)で出題するとしたら…;
・反対語:win⇔lose、against⇔for
・命令文 + and/or…
・作文:We respect the right to do ~ Let’s stop doingを用いて自由英作文。
・リスニングでTrue or false
・In those days、this incident、in this wayを説明しなさい。
・「ローザ・パークスはfollowersの一人だったと考えますか?+意見を書け」
(公民権運動のバスボイコットにつながるローザの事件が「うち合わせ通り」それとも「自然発生」だったかを考えさせる)
・写真にある「colored」と書かれたトイレはどんな人が使うか、英文2語を書き抜け。
(答え:black people)
・ 高校『SpectrumII』日本の水問題のレッスン(p. 30 ~)で出題するとしたら…;
・Q&Aをつくる
・True or falseでRice needs a lot of water.の否定文など
・considerably / in one yearなどの文中での位置を問う
  In the past, considerably large areas of Japan were rice fields.
・「~といわれている」の選択問題:
 Japan is( told / spoken / said ) to be rich in water.
・本文にあるThe average rainfall in one year is about 1,800 mm. を
We have a rainfall of 1,800 mm a year on average.にリライトして穴埋め。

(3)参考書
・ 若林俊輔・根岸雅史『無責任なテストが「落ちこぼれ」を作る』大修館書店1993
・ 根岸雅史『英語教師の四十八手2 テストの作り方』研究者993

■レポーターの感想
準備時間が短く、すっきりした形にならなくてすみませんでした。でも、テスト問題って、職場の仲間同士でも検討しあわないんですよね。こういう機会って、貴重だと思います。

■参加者の感想
? テスト作成について:今年はできればALTの先生に見てもらいたいです。今まで、きっと不自然な表現をけっこう使っていたにちがいない。共通問題のよいところは、互いに指摘しあえることですね。あと、もちろんバリエーションも増えます。総合問題は×とか、中学の観点別評価とか、私、今までよく考えたことがなく、青くなりました。
? うん、こういうワークショップ、いいですね。持ち寄ったテスト問題についてもう少し時間をかけられたら良かったですね。テスト問題って、教員それぞれこだわりっていうか、むしろクセみたいなのがあって、固まってしまうところがあるから、他人のをシェアできるんじゃないかと思いました。
? テスト作りも個性が出て面白い。何が良くて何が悪いのかはっきりしないのが困った所だが、良いところか?
? 総合問題か個別観点(項目)別テストか。「読解力」は本文を書きかえたり、原文を引用したり、時間をかけないとできないなぁと実感! 「記憶力テスト」「応用力(理解度)を見るもの」と分けなければネ。
? 先に問題作りで参加型のあと、締めくくりに参考書3冊、きちんと観点の整理が出て、学習会らしかったです。
P.S. 花粉症で大変さが加わるなか、乗り越えて平気で担当してらしてすごいですね。
? テスト作りは私もいろいろ勉強しているつもりです。「波及効果」を私もいちばん気に掛けてテストを作っています。例えば普段の授業でwarm-upで練習している会話をリスニング問題にしたり、会話の実技テストをしたりしています。そのためか授業態度はとてもよいです。
「生徒が学習したことが生かされるテスト」という点で、私は教科書の本文を出すのではなく、英作文の公開問題(予告問題)を出しています。英作文のトピックも授業でやっている会話とからめたトピックにしています。
? 今回のテスト作りはいろいろな人の異なった視点が見えてよかった。大変だけど和田さんのテスト後に学習させるプリントは作った方がいいと思った。
※萩原さんには是非「文法プリント」のレポートが欲しい。
? ベテランの先生方のいろいろな工夫を知ることが出来て面白かった。感謝しています。
? 限られた時間で同じ英文を見て、複数の方々がテストを製作するというのは初めての経験でした。いつも私にとってテスト製作は楽しくない作業なので、紹介していただいた本を読ませていただこうと思います。ありがとうございました。
? 萩原先生のワークショップは遅れてきてしまいましたので、自分としてはもっと最初から説明を聞きたかったので、とても残念でした。次回来るときは遅刻しないように来たいと思います。でもそれぞれの先生方で同じページでもこんなに多くの種類の問題が作れるのかと驚きました。時間があれば、これは良いとか悪いとか、もっとつっこんだ先生方の意見も訊きたかったです。


参考

テスト問題
・ 中1の2学期中間テスト問題:2004年5月22日 神奈川支部5月研修会にて
「中学入門期の授業?Readingを中心として」船津 了さん(川崎市立川中島中学)
●この2学期から本校に来てくれたSusan(スーザン)に自分のことを最低20単語の英語で紹介してください。[? この具体的な指示文がすばらしい!]
●次は英語の新聞の一部です。この新聞を見て以下の問いに答えなさい。
(6チャンネルTBSと10チャンネルTV朝日のテレビ欄が問題文に載せてある)
(1) ニュースが一番遅くまで放映されているのは何チャンネルですか?
[答え:6チャンネルTBS に深夜の12:45 News がある]
(2) Mikeがこの日の午前にテレビをつけると日本のマンガ(cartoon)がやっていました。チャンネルはテレビ朝日でした。その番組のやっていた時間と番組名を日本語で書きなさい。[答えは以下の3つのいずれか:5:00 Cartoon: Parman (パーマン) 6:30 Cartoon: Sailor Moon (セーラームーン) 7:00 Cartoon: Crush Gear Nitro (クラッシュ・ギア・ニトロ)] [? 楽しい出題ですね!]
●野球のアメリカ大リーグへ行った松井選手が自己紹介しています。あなたはその内容をメールで友達に知らせようとしています。Matsui is…の文から書き始め、松井選手を友達に紹介する文を書きなさい。(最低4文で書いてください。)
 My name is Matsui. I am a baseball player. Ichiro and I are good friends. We always play baseball. We have many fans in Japan and in America. I speak a little English. I like sports.
予想される答え: His name is Matsui. He is a baseball player. Ichiro and he are good friends. They always play baseball. They have many fans in Japan and in America. He speaks a little English. He likes sports.
[この出題は好例。文脈があり、書き換える必然性があるsituation。ぜひ参考に!]




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